「AIに言ったのに忘れられる」の正体|覚えておいてほしいことは、AIの外に置く
「AIにタスクを言ったのに、忘れられていることが何度もあって……」
私が受講生さんのサポートをしている講座で、この相談をよく聞きます。ChatGPTにやることを伝えたのに、次にチャットを開いたら覚えていない。別のチャットを開いたら、そもそも話が通じない。
相談してくる方は、たいてい「私の使い方が下手なんだと思います」と付け足します。でも、これは使い方の問題ではありません。私も最初は同じところでつまずいたので、この記事では、なぜ起きるのかと、私が今どうしているかを書きます。
忘れているのではなく、最初から保存されていない
ChatGPTは、あなたが言ったことを「覚えている」わけではありません。その会話の中に文字として残っているものを、返事をするたびに読み直しているだけです。
だから、こういうことが起きます。
- 会話が長くなると、古い部分から読める範囲の外に押し出されて、なかったことになる
- 別のチャットを開くと、前のチャットの中身はそもそも引き継がれない
つまり「忘れた」のではなくて、「最初からどこにも保存されていなかった」が正しいです。
最近は、AIが会話をまたいで少し覚えてくれる機能もあります。ただ、何を覚えて何を覚えないかはAIまかせで、「このタスク、来週まで持っていて」という預け方には向いていないかなと思います。
ここを分かっていないと、「AIは信用できない」か「私が下手」のどちらかに落ち着いてしまいます。どちらでもなくて、置く場所が違っただけです。
私が引いている線引き
覚えておいてほしいことは、AIの中ではなく、AIの外に置く。AIは、外に置いたものを読んで、並べ替えたり文章にしたりする係にする。
私はこれで迷わなくなりました。具体的には、こう分けています。
時間が決まっているもの(予定・締切)は、カレンダーやToDoアプリへ。時間が決まっていないもの(ネタ・判断・ルール・メモ)は、メモアプリへ。考える・並べ替える・文章にするのは、AIに。
「予定・締切」と「メモ」を分けているのは、あとで探す場所が違うからです。締切はカレンダーを開けば出てきてほしいし、ネタやルールは、書きたくなったときにまとめて読めるところにあってほしい。この2つを同じところに置くと、どちらも見返さなくなります。
「AIを使うかどうか」ではなく「最後に保存されるか」
受講生さんに伝えるとき、私が気をつけているのは、「AIに頼るな」という話に聞こえないようにすることです。
線引きは、AIを通すかどうかではありません。話した内容が、最後に保存される場所まで届いているかです。
たとえば、スマホのGeminiに「明日の10時に打ち合わせを入れて」と話しかけて、Googleカレンダーに予定が入るなら、それは大丈夫です。カレンダーに保存されているからです。
一方で、ChatGPTのチャットに「明日10時に打ち合わせがある」と話しただけなら、その予定は会話の中にしかありません。次のチャットを開いたら、もうどこにもない状態です。
同じ「AIに話す」でも、行き先が違います。見るのは、AIの賢さではなくて、話したことがどこに着地したかだけです。
私が今やっていること
私は、しゃべって考えるタイプなので、AIに音声で話すことが多いです。でも、話しっぱなしにはしていません。
- 予定と締切は、その場でスマホのカレンダーに入れる
- 朝は、AIにカレンダーとやることを読んでもらって、今日の順番を組んでもらう
- 投稿のネタや、自分の口調のルール、過去に書いた文章は、メモアプリにまとめて置いておく
朝の段取りの話は1歳の子どもをみながら在宅で働く、私の1日の時間の使い方に、メモアプリに指示文を置いている話はSNSの投稿をAIで作る、私の6つの手順に書いています。どちらも、AIが読みに行く場所を外に作っておく、という同じ考え方です。
外に置いておくと、あとで効いてくる
外に置く場所がメモアプリやテキストファイルなら、あとでもうひとつ良いことがあります。
AIに読ませられる形で溜まっていくので、「毎回、私のことを一から説明する」がなくなります。私は今、自分の仕事のルールや過去の文章をまとめた場所を持っていて、AIにそこを読んでから作業してもらっています。1年前の自分には、こんな使い方ができるとは思っていませんでした。
だから、受講生さんには「面倒でも、今から外に溜め始めておくと、あとで自動化するときの材料になります」と伝えています。移すのは正直ちょっと面倒です。それでも、その面倒には意味があるかなと思います。
まとめ
- ChatGPTは覚えているのではなく、会話の中の文字を読み直しているだけ。長くなれば消えるし、別のチャットには引き継がれない
- だから「忘れられた」ではなく「最初から保存されていなかった」。使い方が下手なせいではない
- 覚えておいてほしいことは、AIの外に置く。予定・締切はカレンダーへ、ネタ・ルール・メモはメモアプリへ
- 線引きは「AIを使うかどうか」ではなく「最後に保存される場所まで届いているか」
- 外に溜めたものは、あとでAIに読ませる材料になる
「AIに言ったのに忘れられる」で止まっている方は、まず、今日の予定を1つだけ、AIではなくカレンダーに入れるところから始めてみてください。そこから、AIに読んでもらう形に変えていけば大丈夫です。